■ passage ■
この回のトップイラストはいつもとちょっと事情がチガウのでした。
◆遠い音楽◆のイメージイラスト第1弾。
太公望篇「靴跡の花」より。
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BGM(っていうかテーマ)は山崎まさよし "Passage"
著作権の関係上歌詞をここでご紹介するのはアレですが
スゴク師叔な曲なのでゼヒ一度聴いてみてね。
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下の「passage」は◆遠い音楽◆の断片のようなもの。
山崎まさよしの声につられて感傷度3割増量。
| ■passage■ |
気がつけば大地を踏んで歩く機会は以前よりずっと減っていた。 靴底から伝わる固く、暖かな感触は踏みしめる一足ごとに遠い記憶を甦らせる。 自分の歩く速度の遅さに、今更ながらふと気づく。 いつも並んで歩いていた、彼の歩調を身体がまだ覚えている。 否、忘れるはずもない。 地面を這う風に砂埃が舞う。 どこからか運ばれてきた草の葉の欠片や、枯れた木葉が乾いた音を微かに立てて転がっていく。 頭の上を大きな雲が過ぎる。 ふいに雲が途切れて覗く太陽に目を細めて、 そっと息を吐いた。 「……?」 風に紛れて、誰かに呼ばれた気がした。 振り返るのは面倒で、そのままじっと耳を澄ます。 聞こえるはずのない自分の名を呼ぶ懐かしい声が 次々と聞こえては、谺して消えていく。 そして、 彼の声だけが聞こえない。 しなければならないことは多すぎて、そのうえ日々はあまりにも忙しく、人々はあまりに脆弱で愛惜しい。 遠い日に交わした約束は未だ果たされないがそれでも、共に見つづけた夢はやがて叶う日が来るだろう。 その時には、 呼んでくれないだろうか。 道半ばで倒れ伏すことは許されない。 どんなに疲れ果てても、それを自分も望まない。 雲の流れが速くなる。 空は高く、ずいぶんと澄んで青い。 砂混じりの風にふと視界を遮られて、見下ろした足元には赤茶けた大地―――。 歩みを止めて、もう一度耳を澄ます。 遠く、風の向こうで鳥の囀る声が響いていた。 |