◆歩きたくなる径◆



1 春の手紙

太乙師兄

お元気ですか?
僕は元気でいます。
望ちゃんは、僕より元気です。

崑崙山は、思っていたよりずっと広くて大きくて、まだまだ僕が知らない場所が たくさんあるようです。
昨日、はじめて行ったところからは、乾元山が見えました。
見おろすと、少し雲のかかった黒い方形の岩盤に、「乾元山」の字がはっきり読めて
乾元山から崑崙山を見あげていた時より、なんだか近くにあるような気がする、って 望ちゃんと話をしました。

崑崙山の桃の花はすっかり散りました。
もう小指の爪くらいの小さな青い実をつけています。

乾元山の桃は、まだ咲いている木があると思うのですがどうですか?

僕はいま、このあいだ師兄に借りた本の最後の一冊を読み終わるところです。
書庫から持ち出したときは、読了までどれくらいかかるだろうかと思っていたけれど
面白くてずいぶん早く読み進んでしまいました。
新しい本を借りにいきたいのですが、いまここにある本を望ちゃんも読みたいと言っているので
もうしばらくこのまま貸しておいてください。

それでは、また手紙を書きます。

普賢


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