福島県内の風の特性

                                                 気象予報士 島 貫 英 夫

風は一般的には気圧の高いところから気圧の低いところに吹きますが、山や谷間に来ると変化します。山に当たると左右に分かれるものと上昇する風に変わり、また、広い所から狭い谷間に収束する場合は、風は強まるが、狭い谷間から広い平野部に発散する場合は、風は弱まります。この様に風は地形によって風向や風速が大きく変化します。福島県内の地形は非常に複雑で、東西に長く会津西部に越後山脈、中央に奥羽山脈があって会津地方と中通り地方に別れ、そして中通り地方と浜通り地方の境には阿武隈高地があります。 昭和49年に福島地方気象台が発刊した「福島県の気候」の中に昭和42年から昭和45年までの4年間の福島市、白河市、若松市、いわき市小名浜の風向別の頻度分布がのっておりましたので紹介します。

kaze1.jpg

                 第 1 図

 第1図は年間の風向を16方位にわけ、真上を北風、右は東風、真下は南風、左は西風を表し、棒の長さを年間の頻度で表しています。これを見ると福島市は北東と西北西の風が11%程度で多く、そのほかの風向は大体同じくらいの頻度で吹いていることがお分かりでしょう。しかし、いわき市小名浜では北風が22%、北北西が17%で北よりの風が極立って卓越しており、東西方向の風はほとんど吹かないといっても過言ではありません。南北に延びる西側の阿武隈高原の影響と考えられます。そこで月別の風向別の頻度で調べてみました。

kaze2.jpg

               第 2 図

kaze3.jpg

                第 3 図

kaze4.jpg

                第 4 図

 第2図は福島市、第3図は若松市、第4図はいわき市小名浜の月別・風向別の頻度分布図です。 福島市は11月から3月までは北西象限の風が多く、4月から9月までは北東象限の風が多いことがわかるでしょう。又、夏場は南風も多くなります。

 若松市は年間を通して北西象限の風が多く吹いております。

 いわき市小名浜では夏場はいくらか南風が多くなりますが、年間を通して北風が卓越していることがわかります。

 福島市の地形を見ると西側は吾妻山系、南方向は阿武隈川上流、北東方向が阿武隈川下流になって谷間となっています。このため、木枯らしの吹く季節になると、冷たい木枯らしは空気が重いため、山越えをして下りて来ますので西風が吹きやすく、春から夏・秋にかけては宮城県方面から阿武隈川沿いに北東の風が入りやすくなるのではないかと考えられます。

 若松市は阿賀川が南方向から北に流れ、会津坂下、西会津をへて新潟県方面に流れていることから谷間となっています。その他周辺は山岳地帯となっています。このため、年間を通して北西象限の風向きが多くなっていることがわかるでしょう。

 いわき市小名浜は西側に阿武隈高原、東側に太平洋が位置していることから木枯らしも阿武隈高原を越えてくるのは一部で、宮城県に入ってきた木枯らしが阿武隈高原で北風に変化し流入してくるものと考えられます。

 風は山岳によって風向が変わり、谷間に収斂してくることが原因です。 皆さんも自分の住んでいる町の地形をよく知って、季節の移り変わりでどの方向からの風が吹きやすいのかを知ることによって、りんごなどの果実の落下を防ぐ防風林の位置が決まってきます。

 その土地の気象を知るためには、気象観測をやってみなければその地域の気象特性を知ることはできません。収穫を大幅に上げるためにはその努力も必要なのではないでしょうか。  

 

次ページに続く